針葉樹パルプ1容積トン
2024年5月の輸入価格14万1,342円
最高値17万5,346
最安値70,957
- 物価高騰📈ランキング
- 12全146項目調査中コロナ禍前からの上昇率168%
紙の原料
パルプは紙を作るための原料です。木材を小さく切り刻んだ木材チップを苛性ソーダと煮込むことで、チップの繊維をバラバラにし、チップから繊維を取り出し、パルプを製造します。
また、回収した古紙からパルプも作られます。古紙を苛性ソーダと脱墨剤を入れて煮込み、溶解し、繊維のみを取り出し過酸化水素水で漂白して、古紙パルプを製造します。
古紙パルプに対して、木材チップから新しく製造したパルプをバージンパルプやフレッシュパルプ、ピュアパルプといいます。現在の日本の製紙産業の約66%は古紙パルプが利用されています(2022年経済産業省発表データ)。古紙パルプを利用(リサイクル)することで、新たな森林の伐採を抑えることに繋がるため、ほとんどの紙は古紙パルプを配合、もしくは古紙100%で作られており、その配合比率は紙の種類や目的に応じて異なります。ただし、肌に直接触れるティッシュやトイレットペーパー、食材に直接触れるペーパータオル(キッチンペーパー)の衛生用紙はバージンパルプ100%やフレッシュパルプ100%、ピュアパルプ100%の表示が多く見られます。
用途別の主な紙の種類
新聞巻取紙 | 新聞印刷専用の紙 |
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印刷・情報用紙 | 教科書、コピー用紙、雑誌、ノート、パンフレット、チラシ、マンガ、ハガキ、FAX用紙(感熱紙)、レシート、カレンダー、ラベルシールなど |
衛生用紙 | ティッシュ、トイレットペーパー、ペーパータオル(キッチンペーパー)、紙おむつ、生理用品など |
包装用紙 | 包装紙、封筒、紙袋など |
雑種紙 | 書道半紙、タバコの巻紙、障子紙、襖紙、ティーパック、ライスペーパー、グラシンペーパーなど |
段ボール原紙 | 段ボール箱 |
紙器用板紙 | お菓子やレトルト食品のパッケージ、牛乳瓶のフタ、紙コップ、紙皿、飲料用の紙パック、食品用の紙容器など |
雑板紙 | 建材の防水紙や石膏ボード、ラップやアルミホイルの芯、卒業証書を入れる紙筒など |
紙の高騰・値上がり理由
- CO2の増減に影響を与えない観点から木質バイオマス発電所が世界各地で増加傾向にあり、木質バイオマス発電所では木材チップなどを燃料としてタービンを回して発電することから木材チップの需要が急拡大し、バージンパルプの原料である木材チップ価格が上昇した。
- 在宅時間が増えたコロナ禍において日本では戸建て住宅の需要が急増する住宅ニーズの大きな変化が見られ、2021年・2022年と戸建て住宅着工戸数が連続増加したタイミングと、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、ロシアが非友好国に対して木材の輸出を禁止したことで、市場に出てくる木材が減り、希少価値が高まったタイミングが重なり、木材全般の価格が大幅に上昇するウッドショックが発生したことに伴い、バージンパルプの原料である木材チップの価格も上昇した。
- パルプを作る工程、パルプから紙を作る工程には、蒸解や乾燥など多くの化石燃料(原油・石炭・天然ガス)・電気を必要とするため、燃料代・電気代の高騰に伴い生産コストが大幅に上昇した。
- 紙の強度アップや表面コートなどに使われる製紙用薬品はトウモロコシを原料としたコーンスターチや原油を原料としたナフサを使用しており、トウモロコシ・原油の高騰に伴い製紙用薬品の価格が上昇した。
- 世界的な脱プラスチックの流れから紙製包装・梱包の需要が高まっていることに加え、コロナ禍において食品の宅配需要から紙製包装・梱包需要がさらに高まり、紙製容器の需給逼迫で紙の価格が上昇した。
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表データで見る
針葉樹パルプ1容積トンの平均価格(相場)
2019年集計 | 84,045円 |
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2019年1月 | 94,344円 |
2019年2月 | 92,497円 |
2019年3月 | 88,142円 |
2019年4月 | 89,453円 |
2019年5月 | 89,772円 |
2019年6月 | 87,330円 |
2019年7月 | 85,523円 |
2019年8月 | 78,712円 |
2019年9月 | 76,716円 |
2019年10月 | 76,528円 |
2019年11月 | 75,282円 |
2019年12月 | 74,245円 |
2020年集計 | 72,841円 |
2020年1月 | 72,846円 |
2020年2月 | 73,198円 |
2020年3月 | 72,125円 |
2020年4月 | 72,693円 |
2020年5月 | 71,983円 |
2020年6月 | 73,111円 |
2020年7月 | 73,849円 |
2020年8月 | 73,147円 |
2020年9月 | 73,431円 |
2020年10月 | 72,165円 |
2020年11月 | 71,993円 |
2020年12月 | 73,553円 |
2021年集計 | 95,074円 |
2021年1月 | 70,957円 |
2021年2月 | 74,438円 |
2021年3月 | 79,015円 |
2021年4月 | 88,499円 |
2021年5月 | 93,107円 |
2021年6月 | 99,401円 |
2021年7月 | 10万4,171円 |
2021年8月 | 10万4,225円 |
2021年9月 | 10万6,309円 |
2021年10月 | 10万7,529円 |
2021年11月 | 10万9,326円 |
2021年12月 | 10万3,914円 |
2022年集計 | 13万8,506円 |
2022年1月 | 10万6,410円 |
2022年2月 | 10万2,165円 |
2022年3月 | 10万5,837円 |
2022年4月 | 11万3,692円 |
2022年5月 | 12万7,361円 |
2022年6月 | 13万9,153円 |
2022年7月 | 14万6,600円 |
2022年8月 | 14万9,254円 |
2022年9月 | 16万2,090円 |
2022年10月 | 17万461円 |
2022年11月 | 17万5,346円 |
2022年12月 | 16万3,700円 |
2023年集計 | 14万6,478円 |
2023年1月 | 15万7,663円 |
2023年2月 | 15万6,046円 |
2023年3月 | 15万6,974円 |
2023年4月 | 15万6,385円 |
2023年5月 | 14万6,506円 |
2023年6月 | 15万26円 |
2023年7月 | 14万6,949円 |
2023年8月 | 13万7,149円 |
2023年9月 | 14万3,452円 |
2023年10月 | 13万9,514円 |
2023年11月 | 13万6,004円 |
2023年12月 | 13万1,064円 |
2024年集計 | 13万4,805円 |
2024年1月 | 12万5,640円 |
2024年2月 | 13万5,557円 |
2024年3月 | 13万6,076円 |
2024年4月 | 13万5,410円 |
2024年5月 | 14万1,342円 |
針葉樹パルプ1容積トンの最高値は2022年11月に17万5,346円、最安値は2021年1月に70,957円で最高値と最安値の価格差は10万4,389円ありました。最新調査月である2024年5月現在の輸入価格は14万1,342円です。コロナ禍前と比較した場合に168%輸入価格が上昇しました。
関連品目
出典
- ・化学木材パルプ(晒・針葉樹)輸入CIF価格 - 日本円/容積トン
https://chematels.com/market/conifer_pulp - ・木材自給率を用途別にみると、製材用材は48.9%、合板用材は40.8%、パルプ・チップ用材は15.9%、燃料材は69.3%となっている
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r1hakusyo_h/all/chap3_1_2.html - ・2022年の木材輸入実績
https://www.rinya.maff.go.jp/j/boutai/yunyuu/attach/pdf/boueki-9.pdf