原油1kL
2024年5月の輸入価格86,896円
最高値99,563
最安値16,645
- 物価高騰📈ランキング
- 2全146項目調査中コロナ禍前からの上昇率190%
原油を蒸留した際に得られる成分は、LPガス・ナフサ・灯油・軽油・重油の5種類です。これらは沸点(沸騰して蒸気になる温度)によって分けられます。製油所では、原油を加熱炉で熱して、蒸気にして沸点温度によってそれぞれの成分が蒸留装置によって分けられていきます。沸点のもっとも低い30℃以下の蒸気はLPガス、次いで約30℃~180℃の蒸気はナフサ、約150℃~250℃の蒸気は灯油、約250℃~350℃の蒸気は軽油、残油がそのまま重油として留分されます。このうちナフサ留分は、後にガソリンにも分解されることから粗製ガソリンとも呼ばれます。
ナフサ留分のうち、沸点が30℃〜80℃ものを軽質ナフサといいプラスチックの原料となる石油化学製品に、沸点が80℃〜180℃ものを重質ナフサといいガソリンおよびベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンの芳香族の原料になります。
重質ナフサは、50オクタン前後とオクタン価が低く、ガソリンエンジン車の燃料として使用されていた時期もありますが、ノッキング現象を頻発してエンジン効率が悪く、エンジンが故障してしまうことも多発したため、オクタン価を高めるために接触改質装置で分子構造を改良されたのちに89オクタン以上のものがレギュラーガソリン、96オクタン以上のものがハイオクタンガソリンの各製品となります。
原油の高騰・値上がり理由
日本は原油の99.7%のほぼ全量が輸入頼りであることが前提にあります。
- 新型コロナウイルス感染症拡大により停滞していた経済活動が再開したことで、原油の急な需要拡大が発生し、供給が追いつかず需給のバランスが崩れ、価格上昇が起きた。
- 2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、侵攻に対する経済制裁として欧米諸国がロシアの原油の輸入をやめたことで、市場に出てくる原油が減り、希少価値が高まった。
- 産油国であるサウジアラビアが2023年4月から原油の自主減産を始めたことによって市場に出てくる原油が減り、希少価値が高まった。
- 原油はドル決済のため、円安が進むほどに、ドル建て原油価格が上昇した。
原油価格の高騰があらゆる価格の高騰に影響
原油が高騰すると、蒸留・分解して得られる直接の石油製品だけでなく、上流から下流へ連鎖的に何らかのコスト上昇の影響を与えます。その結果、コストが上昇し収益性が悪化した分を価格転嫁するための値上げが相次いで発生します。
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原油の国内自給率・輸入割合
原油の国内自給率・輸入割合は、自給率が0.3%、輸入が99.7%で、輸入が圧倒的に多く、輸入頼りになっています。
原油の国内生産量 (2022年)
1位 | 新潟県 31万6,883kL (64.6%) |
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総生産量 | 49万195kL |
日本の原油国別輸入量 (2022年)
1位 | サウジアラビア 6,138万5,000kL (39.2%) |
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2位 | アラブ首長国連邦 6,031万1,000kL (38.5%) |
3位 | クウェート 1,337万4,000kL (8.5%) |
4位 | カタール 1,017万7,000kL (6.5%) |
5位 | エクアドル 260万2,000kL (1.7%) |
6位 | アメリカ 228万7,000kL (1.5%) |
7位 | オマーン 177万4,000kL (1.1%) |
8位 | ロシア 62万4,000kL (0.4%) |
9位 | ベトナム 55万6,000kL (0.4%) |
10位 | メキシコ 40万4,000kL (0.3%) |
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総輸入量 | 1億5,656万kL |
原油1kLの平均価格(相場)
2019年集計 | 45,845円 |
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2019年1月 | 43,110円 |
2019年2月 | 42,961円 |
2019年3月 | 45,970円 |
2019年4月 | 48,150円 |
2019年5月 | 51,056円 |
2019年6月 | 50,014円 |
2019年7月 | 45,741円 |
2019年8月 | 45,383円 |
2019年9月 | 43,125円 |
2019年10月 | 44,126円 |
2019年11月 | 44,433円 |
2019年12月 | 46,073円 |
2020年集計 | 30,831円 |
2020年1月 | 48,371円 |
2020年2月 | 48,625円 |
2020年3月 | 42,231円 |
2020年4月 | 28,734円 |
2020年5月 | 16,810円 |
2020年6月 | 16,645円 |
2020年7月 | 22,167円 |
2020年8月 | 29,003円 |
2020年9月 | 30,803円 |
2020年10月 | 29,547円 |
2020年11月 | 27,858円 |
2020年12月 | 29,174円 |
2021年集計 | 47,731円 |
2021年1月 | 32,676円 |
2021年2月 | 36,683円 |
2021年3月 | 41,547円 |
2021年4月 | 45,702円 |
2021年5月 | 44,880円 |
2021年6月 | 47,614円 |
2021年7月 | 49,898円 |
2021年8月 | 50,996円 |
2021年9月 | 51,035円 |
2021年10月 | 53,912円 |
2021年11月 | 58,815円 |
2021年12月 | 59,011円 |
2022年集計 | 84,879円 |
2022年1月 | 57,628円 |
2022年2月 | 62,731円 |
2022年3月 | 66,939円 |
2022年4月 | 83,290円 |
2022年5月 | 87,645円 |
2022年6月 | 95,815円 |
2022年7月 | 99,563円 |
2022年8月 | 95,657円 |
2022年9月 | 97,571円 |
2022年10月 | 96,755円 |
2022年11月 | 92,419円 |
2022年12月 | 82,540円 |
2023年集計 | 76,453円 |
2023年1月 | 73,336円 |
2023年2月 | 72,049円 |
2023年3月 | 72,488円 |
2023年4月 | 69,448円 |
2023年5月 | 73,610円 |
2023年6月 | 71,957円 |
2023年7月 | 72,095円 |
2023年8月 | 73,569円 |
2023年9月 | 79,754円 |
2023年10月 | 86,859円 |
2023年11月 | 88,791円 |
2023年12月 | 83,476円 |
2024年集計 | 80,484円 |
2024年1月 | 77,710円 |
2024年2月 | 78,002円 |
2024年3月 | 78,091円 |
2024年4月 | 81,722円 |
2024年5月 | 86,896円 |
原油1kLの最高値は2022年7月に99,563円、最安値は2020年6月に16,645円で最高値と最安値の価格差は82,918円ありました。最新調査月である2024年5月現在の輸入価格は86,896円です。コロナ禍前と比較した場合に190%輸入価格が上昇しました。
関連品目
出典
- ・原油輸入CIF価格 - 日本円/kL
https://chematels.com/market/crude - ・石油(原油)・天然ガス - 新潟県ホームページ
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/sogyosuishin/1277420495419.html - ・2023年上期における石油産業と今後の展望
https://www.kensetu-bukka.or.jp/article/12017/